ときをひろう 梶 なゝ子 展  <白磁オブジェ>
2009年5月19日(火)〜5月31日(日)  


    『記憶のカケラ



    きっと梶さんにははっきり見えるんだと思うのです。

    心のずっと奥底には、こんなカケラがたくさん降り積もっていて、

    一つ一つにその時々の思いや音や匂いがそっとしまい込まれて

    いるのです。


    磁土との静かな対話から浮かび上がってくる、あの時の記憶の

    形。


場の空気に呼応しながら紡ぎ出される即興のダンスのように、その時その度ごとの会話に現れる形を、梶さんは丹念に丁寧に写し取って

くるのでしょう。


そのほとんどの作品に用いられる真っ白い磁土も、さまざまな出生のものを使い分けることによって、そのそれぞれの素性の違いやまと

う光の微妙な差がいろいろな動きや変化を生み出し、作家を触発してくれるそうです。


そして、生まれ出てきた形をそれ以上手を加えずただ焼き締め、組み合わせていく。

その、時にひび割れシワを寄せ、生物のようにうねり寄り添う姿は、私たちが普段見慣れた磁器が見せる、滑らかで明快な表情とは明ら

かに違うものです。


でもそれが、何故か目が離せない不思議な存在感を持って迫ってくるのは、そのカケラが私たちのあの時の記憶の形であり、忘れていた

懐かしいあの場所へとつながる 「扉」 になってくれているからだと思うのです。







梶なゝ子 kaji nanako:1976 京都市芸術大学陶磁器科卒業 サボア・ヴィーブル(六本木)、三春堂(目白)、ナノ・リウム(山梨)等、個展多数。  <滋賀県大津市在住>

写真の作品: 「とびらをひらく」 白磁オブジェ H180 × W280 × D140


<展示風景>













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