No.123
風景の見方〜 増田奈緒 展 (銅版画)                        
2013年8月22日(木)〜9月1日(日) 8/26(月)休廊 






どこかの山深い自然の風景を緻密に描写したように、一瞬見えた。

この手前の木の幹大きすぎないか?

そう気づいたとたん、その風景が一変する。一本の木がいつの間にか近景の巨大な木々の枝の一部になり、

川べりにはやはり不釣合いな程大きな枯葉たちが流れ着いている。

冷静に見渡すと人も鳥も道も雲もない。しんと静まり返った世界に木々だけが粛々とどこまでも生い茂っている。


まだ東京造形大大学院に在学中の増田さんの、その完成度の高い不可思議な世界に圧倒された。

細部の美が積み重なって美しい景観を作り出しているはずなのに、その時系列をはずし同じ視野の中に放り込むと、

突然今まで見えなかった異界の迷宮が立ち上がってくる。


いや、異界のように見えて本当は私たちはこんなふうに見てるのではないか?

人は見たいものしか見ない。あるいは、見えない。

脳が理性的にそのデータを変換する前の、眼が見たそのままの風景。

だからこそ私たちは、その時空のずれの中に立つ木々に、神を感じることさえできるのだろう。

「風景の見方」 、意識して遊んで見るとおもしろいかもしれない。



ちなみに写真の作品の川の景色は関越自動車道越後川口SAから撮った写真を参考にしているそうです。

ちょっとだけ新潟つながり。





1990 千葉生まれ

現在、東京造形大学大学院造形研究領域 1年在学中


タグボートアワード入選(第6回)
三菱商事アート・ゲート・プログラム入選(第13、17回)
全国大学版画美術展 町田市立国際版画美術館収蔵賞(第36,37回)


千葉県柏市在住


























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