植野 智子 展
2008年9月23日(火)〜10月5日(日)  


   『イコンのように』



  この不思議な形はご本人の投影なのでしょうか?それは平面にも立体にも必ず

  あって、ある時は平面を突き破って外に飛び出し、あるいは別々の作品を組み合
  
  わせることで新しい形に生まれ変わったり。

  祈りの込められたイコンのように、無言で私たちに繰り返し繰り返し何かを伝えよ

  うとしているかのようです。



  一見するとプリミティブとかイノセントとかいう言葉も浮かんできそうなのですが、


きっと植野さん自身は逆に極力物語を廃し、情緒性に流されまいといつも格闘しているんじゃないかと私には思えてきます。


そうして生まれた程よい距離感が、その強い存在の不思議な形たちに透明感を与え、ある種の居心地の良さを私たちに感じさせてく

れるのかもしれません。


さまざまな技法を使った版画の作品も多いのですが、ご自身は版画家ではない、とおっしゃいます。

実際、写真のような版画と陶のオブジェをボックスアートのように組み合わせたものや、もっと大胆に四角い版画作品の上から植物

が生えるかのように小さい立体がくっついているものなど、境界を自由に行き来する作品たちを見ると、どんなふうにそれが作られた

かなんてどうでもよくなって、本当に表現したいことはその先にあるんだ、というあたりまえのことにあらためて気づかされるのです。


さて、そうして生まれ出たものたちから植野さんは何を語ろうとしているのでしょうか。

無防備に素のままそこにあるかのような植野さんの作品に映し出されるのは、あるいは見ている私たち自身の素の姿なのかもしれ

ませんけれど。



植野智子(うえのともこ):1960 さいたま市生まれ 武蔵野美術短期大学美術科卒 メキシコ自治大学外国人コース修了 
1986〜 高知県在住 個展:OギャラリーUP.S(銀座/ 02.04.05.06.08)等






<展示風景>













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